<Yahooニュースより>
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ニール・ヤング(69)と言えば、かつてのクロスビー・スティルス・ナッシュ&ヤングのメンバーで、伝説的な「ウッドストック・フェスティバル」(1969)への出演でも知られる、ベテランのロック歌手だ。
自身の子どもが障がい児であるため、障害者の支援にも積極的に関わっているほか、毎年チャリティー・コンサートも開いている。政治的メッセージもよく発信しており、9・11直後には、放送が自粛されていたジョン・レノンの「イマジン」を敢えてコンサートで歌ったことでも知られる。
そのニール・ヤングが昨年11月、「さらばスターバックス(GOODBYE STARBUCKS!!!)」と表明したことで、米国社会に大きな波紋を投げ掛けた。
その経緯は、こうだ。複数の米国ニュースサイトによると、米バーモント州で、遺伝子組み換え食品(GMO)の表示を2016年に義務化する州法案が可決された。GMO食品に表示義務を課す州規制は、米国50州の中でも初の試みだ。
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これに反発したのが、多国籍バイオ化学メーカーのモンサントだ。同社は自社製の除草剤ラウンドアップに耐性をもつ遺伝子組み換え作物をセットで開発・販売しており、いまや世界の遺伝子組み換え作物の種の90%を供給しているとされる。
このモンサントが全米食料品協会(GMA)と組んで、バーモント州に対して食品表示法の差し止め訴訟に踏み切った。スターバックスもGMAに加盟しているため、ニール・ヤングが「スターバックスがモンサントと組んでGMOの表示を妨害している」と受け止めたのだ。
米スターバックス社はホームページ上で「当社はバーモント州法差し止めには加わっていないし、モンサントと同盟を組んでいるわけでもない」とニール・ヤングの主張に真っ向から反論した。
しかし米国のフェイスブックやツイッターなどSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)では、「だとしても、スターバックスのラテに使う牛乳には、GMO穀物が使われているだろう」「スターバックの全製品をGMOフリーにしないのか」などの意見も相次ぎ、旗色は悪い。
このニュースは日本のメディアで報じられることは少ないし、当面は日本で大きな話題になる可能性は少ないだろう。そもそも、日本人の間でGMOの危険性に対する認知度はまだ低いからだ。「無関心」に近いと言ってよいだろう。
だが、今回のエピソードには日本企業も留意しておいた方が良いポイントが三つある。
一つ目は、いま米国の市民・消費者の間でGMOに対する危機感が急速に広がっていることだ。米国ではここ数年、「食の安全性」への関心が高まっている。日本人も「食の安心・安全」にはうるさいというが、実際のところは「食品偽装」や賞味期限などの表示問題、あるいは最近メディアを賑わせている「異物混入」の問題など、「目に見えるリスク」にとどまっているのが現状だ。
GMOは農薬問題とともに、いま米国で大きな注目を集めている。そのきっかけの一つは「枯葉剤耐性の遺伝子組み換え」だ。
モンサントの除草剤「ラウンドアップが効力を失ってきたことを背景に、ベトナム戦争で使われた枯葉剤を混ぜて使おうとするもので、この強力な農薬カクテルをかけても枯れないように遺伝子組み換えされた大豆やトウモロコシをダウ・ケミカルが開発した」(「GM作物の輸入承認 ノーガード状態に」(オルタナ37号、印鑰智哉氏)。
残念ながら、日本政府・農水省のGMOに対する危機意識は低い。「日本は世界有数の遺伝子組み換え消費大国であり、日本の遺伝子組み換え食品の表示義務は緩く、消費者はそれを意識することが難しい」(印鑰氏)。
上述のダウ・ケミカルが開発した枯葉剤耐性のGMOは米国では承認されていないにも関わらず、驚くべきことに、日本では2012年12月に承認済みだ。
ただ、今後、米国の反GMO運動が日本に飛び火して、日本の消費者が目覚める可能性がある。欧州では、チェルノブイリ原発事故(1986)後、放射能だけではなく農薬についての危機意識が高まり、ビオ(有機)農産物のシェアが高まった。日本でも福島第一原発事故以降、女性や主婦層を中心に、オーガニック(有機)農産物の需要が増えている。
二つ目のポイントは、米国や欧州と同様に、日本の著名人の間で社会的な発言が増えていることだ。今までは、スポンサーに配慮してか、それが美徳ということなのか、特に芸能人は政治的・社会的な発言を差し控えるのが常だった。
だが、この数年では、女優の杉本彩さんが化粧品の動物実験に反対するシンポジウムに参加して発言したり、村上春樹、吉永さゆり、故・菅原文太の各氏らが反原発の旗色を鮮明にするコメントを出したりするなど、社会的な発言が珍しくなくなった。
いわゆる日本の芸能人の間でタブーが薄まり、さらにはSNSで自由な発言が増えているなかで、今後、ニール・ヤングのような発言が日本の有名人から飛び出す可能性は否定できない。
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三つ目のポイントは、グローバル企業に対する消費者の反発だ。トマ・ピケティが「21世紀の資本」で指摘した通り、今世紀に入り、日本だけではなく、世界の先進国共通の現象として、貧富の格差が拡大している。これに伴い、巨大企業に対する視線はかつてないほど厳しくなった。TPPへの反感も同様だ。
スターバックスはこれまで熱帯雨林の保護やフェアトレード、ダイバーシティの推進などで先進的な活動を展開し、米国社会から高く評価されてきた。だからこその厳しい批判、という側面もある(オルタナ編集長 森 摂)
<転載終わり>
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スターバックスのユーザたちは、昨年5月29日、シアトルのスターバックスに対して、GMO(遺伝子組み換え作物)飼料により育てられた牛のミルクの使用停止を求めるデモを行ったそうです。
日本のスターバックスのミルクは、アメリカから輸入したミルクかどうかは分りませんが、GMO飼料により汚染されている可能性があるので、ラテなどは飲まないほうが無難です。
日本のユーザは遺伝子組み換え食品には、あまり関心はないようですが、自然農や自然栽培をしている人たちは、遺伝子組み換えの害についてはよく知っています。
遺伝子組み換えのような不自然なものは、食べない方が賢明です。