人間の生命維持に必要な栄養素をご存知でしょうか。それは、①炭水化物、②たんぱく質、③脂質、④ビタミン、⑤ミネラルの5つです。最近では、第6の栄養素として食物繊維、第7の栄養素にファイトケミカルが位置付けられています。
それでは第7の栄養素であるファイトケミカルとはどのようなものでしょうか。Wikipediaを抜粋した内容をご紹介します。
『ファイトケミカルは、数千年にわたって薬として使用されてきた。ヒポクラテスは風邪の対処としてヤナギの葉を処方している。広義の意味では、植物由来の化合物や栄養素を指す。ファイトケミカルは健康に良い機能を多く持っているという点である。例えば、免疫系の機能を向上させたり、バクテリアやウイルスに対して作用したり、炎症を抑えたり、がんや循環器疾患などに対して治療もしくは抑制効果があるとされる。ファイトケミカルの多くは果物や野菜の色素や辛味成分であり、抗酸化剤としても用いられ、体内では抗酸化物質として作用する。例えばルテインはトウモロコシの黄色、リコピンはトマトの赤、カロテンはニンジンのオレンジ色、アントシアニンはブルーベリーの青のもとである。』
ファイトケミカルとは、ギリシャ語の植物を意味するファイト(phyto)+ケミカル(化学物質)で、天然の植物性化学物質という意味になります。最初に聞いたときは、「ファイト」だから、戦う物質のことかと思いましたが、ファイトとは植物という意味であることが分りました。
植物は動くことができないため、太陽の紫外線による酸化や、虫などから自分を守るために、色素や香り、苦味を持った物質を作り出します。
従って、ファイトケミカルは強い抗酸化力と抗菌作用を持っています。人体に入ると、身体の免疫機能をアップさせ、活性酸素を減少させてくれます。その結果、ガンをはじめ循環器疾患など多くの病気の予防に役立つといわれています。
なかでも注目されるのが、抗酸化力です。人間の身体は、鉄が錆びるのと同じように、日々酸化しています。酸化は、さまざまな病気や老化の原因とされ、ガンや認知症、生活習慣病とも密接な因果関係があるといわれています。とくに活性酸素の害は強力ですが、ファイトケミカルはそれをも抑制し、身体を病気から守ってくれる物質といえます。ビタミンやミネラルとともに、ファイトケミカルを摂り入れることにより、病気の予防に役立てるのではないかといわれています。
ファイトケミカルの一つであるポリフェノールは、赤ワインに含まれていることは有名ですが、他にもさまざまな野菜や果物に含まれています。大豆にはイソフラボン、緑茶にカテキン、ニンジンやカボチャにはカロテンが含まれています。代表的なものを以下にまとめてみました。
名称
含まれる植物
機能・効果
アントシアニン
黒米、ナス、ブルーベリー、サツマイモなど
抗酸化作用
イソフラボン
大豆など
更年期障害改善・骨粗しょう症予防
アリシン
ニンニク、玉ネギ、長ネギなど
抗酸化作用・動脈硬化予防
ルテイン
ホウレン草、レタスなど
抗酸化作用
リコピン
トマト・スイカなど
抗酸化作用
クマリン
ニンジン、ブロッコリーなど
抗ガン作用
インドール
小松菜など
抗ガン作用
イソチオシアネート
大根、小松菜、キャベツなど
抗ガン作用
ジンゲロール
ショウガ
抗ガン作用・血行促進
カロテン
ニンジン、春菊、トマト、モロヘイヤ、キュウリなど
抗ガン作用
サポニン
ニンニク、玉ねぎ、豆類
高脂血症の改善
ゼアキサンチン
ホウレン草、キャベツ、豆類
抗酸化作用
ファイテート
玄米
抗酸化作用
モノテルペン
ニンジン、ナス、トマトなど
抗酸化作用
ダイエタリファイバー
ピーマン、キャベツなど
大腸ガン予防、便秘解消
クロロフィル
ピーマン、白菜、春菊
抗ガン作用
ククルビタシン
キュウリ
抗ガン作用
* 上記以外に約1,500種類あります。すべての野菜に、何らかのファイトケミカルが含まれています。
野菜や果物には何らかのファイトケミカルが含まれていますので、日々食すことで健康な身体を維持することができます。
一日に必要とされるファイトケミカルの分量を野菜から摂取する場合は、約350gを食べることが目標とされています。無農薬野菜には、農薬野菜よりも多くのファイトケミカルが含まれているといわれていますので、できれば無農薬野菜を食することが望ましいといえます。